西内酒造

銘酒誕生の地を訪ねて 西内酒造

奈良県桜井市、談山神社のほど近くに佇む西内酒造は、明治初期に創業した歴史ある酒蔵です。豊かな自然に恵まれたこの地で、選び抜かれた地の米と清らかな水を使用し、丁寧に酒造りを行っています。小規模ながらも、その丁寧な仕事が生み出す酒は、地元で愛され、知る人ぞ知る銘酒として評価されています。

悠久の歴史を紡ぐ

西内酒造は、明治初期に紅葉の名所として知られる談山神社の一の鳥居そばで創業しました。この地は古くから酒造りに適しており、かつては妙楽寺という寺で僧坊酒が造られていました。その寺から流れる川の伏流水は、現在も西内酒造の酒造りに欠かせない良質な水として使用されています。明治時代に建てられた酒蔵の建物は、当時の建築技術や趣を今に伝える貴重な存在です。丈夫な木造建築は、地震にも耐え、時を超えた風格を感じさせます。酒蔵内には、阿弥陀車など、昔ながらの道具も残されており、歴史を感じることができます。

こだわり抜かれた珠玉の一滴

西内酒造では、地元産の米と水にこだわり、伝統的な製法を守りながらも、常に新しい味わいを追求しています。看板商品は、県内で一社のみが製造する貴醸酒と累醸酒です。貴醸酒は、仕込み水の代わりに古酒を使用する贅沢な製法で造られ、貴腐ワインやアイスワインのような極甘口の風味が特徴です。累醸酒は、貴醸酒をさらに仕込み水として使用したもので、より複雑で奥深い味わいを楽しめます。これらの高級酒は、国際的なワインコンテストIWCでトロフィーを受賞するなど、その品質は世界的に認められています。その他、フレッシュなにごり酒や、黒米を使用した日本酒など、個性豊かな銘柄も揃えています。

西内酒造をさらに深く知る

西内酒造では、酒造りの工程や歴史、素材へのこだわりを大切にしています。酒造りは毎年が一年生という心構えで、丁寧な仕込みと細やかな温度管理を徹底。また、酒造りに使用する米は、奈良県生まれの中村直三氏が品種改良を行ったものを使用するなど、地元への愛情も深く、地元の恵みを最大限に活かした酒造りを行っています。地元の文化を継承し、「地の米」「地の水」にこだわった酒造りを通じて、多くの人々に愛される酒を造り続けることを目指しています。